電子情報通信学会2012年総合大会

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電子情報通信学会2012年総合大会 参加報告

【開催日時】2012年3月20-23日
【場所】岡山大学 津島キャンパス
【報告者】安永研究員

 電子情報通信学会の総合大会が岡山大学にて開催されました。
 総合大会は普段参加していないような別分野の研究発表を
 気軽に聴講することができる機会でもあります。
 参加したセッションはいずれもほぼ満員の状態であり盛況でした。
 以下、講演内容について。

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BHP-1-2	利用行動を考慮した通信サービス品質の評価  新井田 統(KDDI研)
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通信サービス品質の評価における認知的アプローチの導入について。
例としてプログレスバーによる違い。
心理的待ち時間を減少させればよいと考えてしまうが、そうとも限らない。
感覚時間が長く感じてもユーザにとってより望ましい場合もある。
これは、人工物と人との相互作用において、
プログレスバーの違いによって、人に与えられる「課題」が変わったと考えるべきではないか。
別の例としてテレビ電話にあった期待。
音声に映像という非言語情報を加えることで、対面対話に近いものが実現できると考え、大きな期待があった。
しかしそれほど普及したとは言えないのが現状。
これは、電話でのコミュニケーションと言う課題が、テレビ電話によるコミュニケーションという課題に
変わってしまったことが原因ではないか。
コミュニケーションの質が変わったため、単純に要素を追加することが質の向上につながらなかった。
質の向上だけではなく、質の転換に着目した品質評価が必要。

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BHP-1-3	基礎心理学的手法による製品・サービスの評価  原澤 賢充(NHK)
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製品やサービスの評価のための古典的な方法としてはアンケートやインタビューがある。
しかしこれらは、被験者が気づいたことしか評価できず、言葉が通じる相手しか対象にできない。
また、アンケート等を聞くという行為自体によってユーザの評価が変わる可能性もある。
そこで、心理実験的アプローチを考える。これは、被験者のパフォーマンス(=課題の成績)で評価を行う。
定量化が可能である点でも望ましい。代表的な指標として課題の正答率や反応時間などがある。
評価をするにあたっては実験心理学で確立されてきた手法を利用できる。
人間の応答を測るには、「刺激」を人間に与え、その「反応」を測るということを行う。
従来的なサービス評価等では「反応」を様々に工夫することを考えてきているが、
「刺激」を工夫するという点が欠けているという印象がある。

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パネル討論 
セッション BHP-1. ユーザの心理、行動から見た通信サービス・クオリティのあり方
司会進行:大西仁 (放送大学), パネリスト:原澤賢充 (NHK), 新井田統 (KDDI研), 高橋玲 (NTT)
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Q. QOE の話は昔からあったのではないか。それが可能になったのか?
A. それぞれではなく、トータルで評価が可能になっている。評価がバラバラのものを評価するのが難しい点。
A. 昔から言われていたが、そこまで必要なかったのではないか。品質のコントロールは必要になっていると思う。

Q. なんでも取り込むと研究が遂行不可能になってしまわないか?
A. 方法論自体研究として現在成り立っていると思う。
Q. 具体的には? 
A. 待ち時間をどんな環境でも評価したい。再現性は?こういう環境下でこういう実験をすればこういう評価が可能という形ができる。
A. 過去の品質評価は、できればいいでしょうという形であった。より洗練された方法論が必要。聞いてもわからない部分。

Q. 新規性はどこ?裏付けだけ?思いも寄らない手法の発見は可能か?
A. 会社でも当たり前のことだと言われてしまう。人間の行うことなのでいきなりぽっと出てくるのは難しいかも。主観品質系だと特に。
データそのもので新規性を求めるのは難しいかも。それをもとに新しい技術という話だとありだが。
Mobile HI では、そのように、最後モノを作って評価してよかったでしょというストーリーが多かった。

Q. どこが違うというのをどう見つけるのか?
A. 仮説と違うデータが出たとき。誤差ではなく何かがあると考える。別分野の方とデータの見方が違う。
Q. 仮説が reject されたときは?
A. まずは次の実験。 ビッグデータからの解析は別の手法。そこから仮説を出してくる。 
A. ユーザから情報をとるというの一つがビッグデータ。ミクロなデータも着目する必要があるのではないか。
A. ライフログみたい?データをとっても、メリットがなければ駄目。品質データをとるにあたってデータを取ればいいというものではない。
A. R が多くて S が少ないのではないか。ライフログでも環境情報もとればいいのではないか。

Q. モデルがあっていることの評価は?
A. かなり難しい。正しいか正しくないかだけでは議論が落ち着かない。いろいろ仮説を立ててモデルを作って、ここまで調べた。を繰り返す。
行動経済学的なアプローチが可能かも。データを集めて、数学的に最後は処理する。
個人モデルを作って、(それが正しいモデルかどうかはおいておいて)それに従ってデータを使って、統計的性質に差がないので、
そのモデルは正しいだろうというやり方。

Q. 工学やが陥りやすい心理実験での間違いは?
A. 多いのは、学習効果や疲労効果を無視している。実験車と被験者同じことがおおい。ダブルブラインドネスがフェア。
実験車も何を実験しているかを知らずに実験し、そのデータを使って分析。

Q. コラボレーションが必要と思うが、打開策は?
A. 人材が足りない。心理学的知見を持った人が多くの研究所にいない。単にいるだけでは駄目。
コラボレーションのタイミングを早くすることがいいのではないか。
アイディアレベルでは社外に人材を求めにくいので、社内でかかえるしかないかな。 
A. 心理学だけでは食えないので仕方なく?工学とコラボ。ソーシャルな面を含めたところは重要性を認識しにくい。
A. 通信工学のマーケティングが荒いのではないか。もう少し個を見ていかないと。

Q. やめた人を聞きたいが、なかなか故障しないので難しい。
A. 検証が困難。実際に言うことと実行が差があるので、聞くだけでは難しいと思う。

Q. ユーザの差をどう見るか?普通は一様と見ているが。
A. ユーザ属性を増やしていかないと。
A. 実験心理学は健常な人を対象として測る。

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AS-2-1    (依頼講演50分)On Secret Sharing Schemes based on Regenerating Codes
Masazumi Kurihara(Univ. of Electro-Communications)
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再 生可能符号とは消失符号に機能が追加されたものである。
消失符号では通常、符号化系列のうちある一定数が消失したとしても符号化前のメッセージを復元可能であるが、
再生可能符号では、それに加え、符号化系列のある一定数が消失したとしても符号化系列を復元可能というものである。
復元する際、メッセージを復元するための系列とは別の 系列から復元するため、
復元するのに必要なシンボル数を少なく押さえることが可能になる。
元のメッセージを復元するのではなく符号化シンボルを復元することは、
ロバストなシステムを構成する上で重要な基礎技術である。 

network coding との関係:
repair node d 個をあつめてそこから k 個のシェアを送れば source へ送ることができる。
ただ、そのままだと network coding には使えない。capacity がわからないから。

Q. non-linear ramp scheme とは?
A. ramp scheme でも漏れ方が linear ではないこと。
Q. Secrecy capacity の upper bound はあるが lower bound は?
A. あまり興味を持ってやられいないのが現状

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AS-2-6	なりすまし攻撃を検出できる(k,n)しきい値法の構成とその最適性 古賀弘樹(筑波大)
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n 個のシェアのうちいくつかを見て、偽シェア1個を作って間違って復元させるという状況を考える。
通常のなりすましでは、部分集合が悪者でそれらが偽シェアを作って間違った秘密を復元できるかという状況。
敵が偽造するユーザのシェアを見ることができないという点が大きく異なる。
相関レベルで特徴付けができる。逆定理(ある相関レベルを持つものはある閾値型秘密分散を持つ)を示せる。
Johannesson-Sgarro の評価法(認証符号における成功確率の下界)をもとに
シェアサイズ、一様乱数サイズ、攻撃成功確率の下界(相関レベルで)を導出。
特定の状況で下界を達成する構成法を提案。

Q. 二人のなりすましは難しい?
A. 攻撃者にとっては一人の方がなりすまししやすい。

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