第34回情報理論とその応用シンポジウム

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SITA2011 参加報告

【会議名】第34回情報理論とその応用シンポジウム
【開催日時】2011年11月29日 -- 12月2日
【場所】鶯宿温泉 ホテル森の風鶯宿 岩手県岩手郡雫石町
【報告者】安永研究員


昨年度、情報理論とその応用学会(SITA)は解散し、
電子情報通信学会基礎・境界ソサイエティのサブソサイエティ、
情報理論とその応用サブソサイエティ(SITA)が誕生しました。
その影響もあってか、発表件数は例年の 2/3 程度、参加者は2割減だったようです。
個人的には、規模が大きいことがよかった時代は過ぎ去っており、
コンパクトに開催されることは、新たなスタートを切った SITA としても、よい傾向だと感じています。
そうすることで、自分の専門でなかったテーマの発表を聞く機会が増え、
参加者間の距離が縮まり、研究の議論や情報交換がしやすい環境が生まれると思います。

通常の研究発表に加え、初日は若手研究者のための招待講演会が開かれ、3件の招待講演とパネル討論が行われました。
聴講者は目測で80名程度でした。
招待講演は、横浜国立大学の松本勉教授による「情報理論的セキュリティ技術の実用的価値」、
東北大学の安達文幸教授による「情報理論に支えられる移動通信」、
東北大学の林正人教授による「情報スペクトルによる二次オーダーの情報理論」でした。
パネル討論は、岐阜大学の鎌部浩准教授、名古屋工業大学の和田山正教授、NTTの三宅茂樹氏、
情報通信研究機構の小林欣吾氏により行われました。
また、2日目の夜には、ワークショップが開催され、温泉宿の夜という雰囲気の中で、
普段の研究発表ではなかなか聞けない本音の質問等を交えながら、研究の面白さを語り合いました。
ワークショップはパラレルに3つ行われ、それぞれの題目は、「光通信の波形歪みと信号処理」、
「符号理論の新しい潮流 SITA 奨励賞受賞研究を軸として」、「海外留学のすゝめ」でした。

以下、いくつかの発表についての所感です。

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情報理論的セキュリティ技術の実用的価値  松本 勉
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情報理論的に安全な暗号技術の有用性についての講演であり、
具体例として、電力システム通信を挙げられていました。
一般的に、情報理論的に安全な技術は、計算量的に安全な技術と比べて、
シンプルな構造を持っているため、応用上も望ましいという点は、確かに納得いたしました。

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情報スペクトルによる二次オーダーの情報理論	林 正人
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今年の IEEE Information Theory paper award を受賞された林正人教授による、受賞論文に関する講演でした。
受賞論文は、
M. Hayashi , "Information-Spectrum Approach to Second-Order Coding Rate in Channel Coding", IEEE Trans. Inform. Theory, Nov. 2009
です。日本人の受賞は、1974年の有本卓先生の受賞に続き、2回目です。
内容は、私も理解が十分でないので間違っている部分があるかもしれませんが、
ざっくり述べると、大数の法則と中心極限定理の関係を、通進路符号化定理に当てはめて考えようというものです。
Shannon の情報源符号化定理では、圧縮レートがエントロピーに近いときにどのような振る舞いをするかを解析してますが、
あくまでも漸近論であり、この場合は、大数の法則で十分でした。
ただ、有限長の場合に対する近似値等については、この議論では十分でなく、中心極限定理のように
二次オーダーまで考慮した解析をするというのが、研究の技術的なアイディアです。
大数の法則と中心極限定理は、平均値の分散の関係に対応しており、
より詳細な解析をすることで、これまで明らかにされなかったことが見えてくるというお話でした。
説明されると「確かにそうだ」とすぐに納得してしまいますが、そこに着想が行くというのが研究者としての素晴らしい視点だと感じました。

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