第1回 エネルギーの情報化ワーキンググループ会合

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###	出張報告:エネルギーの情報化シンポジウム		 	###
###            (第1回 エネルギーの情報化ワーキンググループ会合)	###

【会議名】第1回 エネルギーの情報化ワーキンググループ会合
【日時】2009年7月29日(水)13:30−16:50
【場所】京都大学百周年時計台記念館2階国際交流ホールI
【URL】http://www.khn-openlab.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=16 
【主催】けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会エネルギーの情報化WG
【報告者】江藤研究員


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1]講演者:
     総務省 情報通信国際戦略局 技術政策課 イノベーション推進官 太口努
          経済産業省 製造産業局住宅産業窯業建材課 課長補佐 濱田豊志
          京都大学 大学院情報学研究科  松山隆司
     京都大学 学術情報メディアセンター  岡部寿男 教授
       京都大学 大学院工学研究科      引原隆士 教授 
     北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科   丹 康雄 教授
     NEDO技術開発機構 省エネルギー技術開発部 主任研究員 酒井 清
     パナソニック電工(株) 先行技術開発研究所 所長 藤岡 透
     シャープ(株) ソーラーシステム開発本部エネルギー技術開発センター
     副所長 松岡 継文
  参加者:200名超

2]資料:
   @エネルギーの情報化とSmart Grid			(松山教授)
   A「情報通信・エネルギー統合技術の研究開発」について	(岡部教授)
   BNiCT 情報通信・エネルギー統合技術の研究開発		(引原教授)
      C消費エネルギー抑制ホームネットワーク技術の研究開発	(丹教授)
      D直流化への期待と省エネルギー技術開発		(酒井氏)
   E「次世代高効率エネルギー利用型住宅システム技術開発・実証事業」
	-パナソニック電工の直流配線システムへの取り組み-	(藤岡氏)
   F「次世代高効率エネルギー利用型住宅システム技術開発・実証事業」
	について					(松岡氏)

3]内容:
  1) 開会の挨拶
  1-1) 総務省情報通信国際戦略局技術政策課 イノベーション推進官 太口努氏
  1-2) 経済産業省製造産業局住宅産業窯業建材課 課長補佐 濱田豊志氏
     a)2008年度 住宅着工件数減	80万戸(?)
     b)日本の住宅寿命は短命(英:55, 米:70, 日:30-35年)
     ->住宅寿命延伸、低炭素化
     c)生活者が意識しない省エネ効果、を期待
     d)太陽光発電 2020年 20倍、2030年 40倍を計画(補助、開発支援)
   e)近畿圏の産業・学術機関に期待

 2) エネルギーの情報化とSmart Grid [京大)松山教授]
     a) エネルギーの情報化とSmart Gridは違う(が本日の主旨)
     b) ICTの目的
	-便利さ・楽しさ->社会基盤デザイン
	-21世紀社会の構造
     -情報NW社会:法律、規則(標準化)を守る⇔実世界:物理化学法則に従う
	  計算・情報モデル⇔物理化学モデル・・・研究者のMotivation
	  認証、セキュリティ、価格評価
          (ex.金融世界
         ->ICTと実社会の不整合が昨年来の不況要因
	       by サブブライムローンの評価誤り
   c)情報化とは?
	-情報化≠デジタル化(ディジタル化:入口だが情報化ではない)
         ->情報世界対象-実世界対象の対象結びつけ、ID付与、認証、対象認識
	   ->実世界の関係・相互作業->計算・処理
             ->変化のモデル化とシミュレーション予測、が情報化
       ->エネルギーにIDを付与できるのか? =>不明、だから研究
           ->計算・処理の基本:モジュール化、
	-エネルギーは「モノ」か? (盗電、情報窃盗の面で議論されている)
     d)エネルギーの情報化
	-地球温暖化防止とICT
	 -Green of ICT
          -省エネルギーICT機器の開発
	  -省エネルギーSWの開発
	  -データセンターの省エネルギー化
	 -Green by ICT
	  -間接的省エネルギー化
	  -直接的省エネルギー化
	-情報・エネルギー統合ネットワーク
         -分散化、双方向化、個人化
     -パワー,周波数・位相のコントロールとセンシング
      ->双方向、実時間結合
       ・・・Smart Gridは??? 違う!
       電力会社側:Smart Grid ・・・某国でご勝手に!
            ホーム側:エネルギーの情報化
          ->グローカルな活動が必要!
       地球規模で考えながら、自分の地域で活動する	
	    身近で実現容易なところから始める。家庭内から地域、国へ。
	-CO2排出量の年次変化
	 -歯止めがかからない
     e)エネルギーを意識した持続可能な暮らしの実現
	1)電力センシングを通じた人間行動の見切り
      ->生活行動パターンの検出、異常検知
      ->省エネ実験住宅(7/29朝日新聞朝刊)、ではダメ
            生活者行動予測に基づいた節約だけでは十分な省エネは実現できない
            豊かな生活を追い求めていては地球環境は守れない(10%省エネでは不十分)
	  -スマート・タップ(NICT試作)
          -電流からの使用認識
	  -CO2削減に向けたキーアイデア	特許出願済
     f)オンデマンド型電力NW:EoD:Energy on Demand
       -スイッチを入れても電気がくるとは限らない
    -電力マネージャが電気使用量、時間を割り当て(Best Effort)
    *  -Smart Grid vs. EoD(i-Energy:エネルギーの情報化)
    *   Smart Grid:既存電力NWの効率的運用法
    *		  主として世帯、事業所を単位とする地域NWを対象(Micro-Grid)
    *		   効果は変動的
    *	EoD(i-Energy):電力NWにBest Effortの概念を導入
    *		   蓄電・発電装置を単位とするホームNW(Nano-Grid)
    *          	   CAP制によって大幅な省エネが100%確実に可能
    *          	   電力の由来別制御(電力カラーリング:電力に由来に基づく制御)
	2)オンデマンド型電力NWによる電力マネジメント
        3)家庭内ナノ・グリッド
          -夜間の畜・給電による電力マネジメントの効率化
     g)EoDのためのQoEn:Quality of Energy
	 -必要な瞬時エネルギー
	 -エネルギー消費の動的パターン
	 -可制御性
	 -重要度
	  ->All Japanによる国際標準化が必要
     h)EoDとQoL:Quality of Life
         -各世帯で最大利用可能エネルギー値を設定
         -エネルギーカットによる生活の利便性、快適性の低下
         -QoLの評価指標の設定とその評価方式の標準化
         -QoL指標に基づいたEoD方式の性能評価
	  ->All Japanによる国際標準化が必要
	4)地域ナノ・グリッド
         -コミュニティエネルギーサーバーとマイクロ・グリッド電録会社接続
     -余裕ある家庭から近隣への電力供給を行う経済NWの構築
       ->i-Energy市場(インセンティブないと人は動かない)
	  ->電力会社⇔個人(定額販売) 太陽光由来電力の識別が必要!
	  ->個人⇔個人(オークション) 太陽光由来電力の識別が必要!
     i)自動車・家電を超える新たな産業の振興 by All Japanで
         ->i-Energy機能を設備として備えた住宅の商品化
         ->i-Energy機能備えた家電製品・自動車の商品化
	  ->輸出商品としての世界展開、自動車・家電と一体化した住宅産業
     j)研究開発プロジェクト
	-NICT委託研究:情報通信・エネルギー統合技術の研究開発
	-総務省通信企画課:消費エネルギー抑制ホームネットワーク技術の研究開発
	-総務省技術政策課:PREDICT
	-NEDO:次世代高効率エネルギー利用型住宅システム技術開発・実証事業
     k)エネルギーの情報化WG
	-けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会
	 [http://www.khn-openlab.jp/]にエネルギーの情報化WG設置(2009.5)
        -目的:米国に対する発信  [ http://i-energy.jp ]
	-Save the Earth with ICT Technologies!
         ICTは社会基盤を変えることができる。何を変えるかが重要。 
         各個人が当事者となることが大事。
   Q.物理的に一か所,首都圏に集中しないか?
     A.生活リズムを精査することにより、学習して家単位でマネジメントする。
       集中化ではなく、地方分権型。

     Q&A by江藤
     Q1.家庭でのエネルギー情報化に初期コストが必要では?
     A1.既存インフラを活用し、家庭導入の場合は限りなくコストゼロ
        にする研究を別グループで実施中(本日発表にはない)
     Q2.セキュリティの考慮は?
     A2.家庭内の電力使用状況という"個人情報"を外のプロバイダに
    見せる情報と見せない情報の切り分けが必要。今は未検討。

 [所感]
 (1)  SmartGridは、地域NWを単位(Micro-Grid)とする既存NWの効率的運用法。
    エネルギーの情報化は、蓄電/発電装置を単位(Nano-Grid)とし、
    電力NWにEnergyOnDemand(i-Energy)とBestEffortの概念を導入かつ電力の
    (発生)由来別制御をする省エネシステムであり、さらには標準化し、
  家電や自動車も取り込んだエコ住宅を商品化、新産業の創出・海外展開
  するという壮大な計画であった。「省エネ10%」程度では意味がなく、
    30%以上削減を目指さないと意味がない、という意見に共感。
 (2)  小規模電力会社かつ旧型NWの米国発のSmartGridを大規模電力会社かつ
    新型NWの日本への適用に疑問を感じていたが、本WG案は理解できる。
    最終目的は新産業の創出というビジョンも興味深い。


 3)「情報通信・エネルギー統合技術の研究開発」について [京大)岡部教授]
     a) NiCT H21年度「高度通信・放送通信機構開発委託研究」(H21-H25)
     b)研究開発体制
	-京大(岡部教授,引原教授)、神戸大(塚本教授)、大和ハウス工業
         潟Gネゲート、潟gランス・ニュー・テクノロジー
     c)研究の目的
	-電力ネットワークと情報ネットワークの結合
	-実世界の人間の行動パターンに応じてプロアクティブに
     エネルギーを制御
	-総合的な電力消費削減及とQoL(Quality of Life)の維持機構の提案
         及び、家庭から地域への新しいエネルギー供給の在り方の提案
     d)研究開発課題
     e)汎用ホームゲートウェイ:電力情報の収集とDB化,収集情報の活用
       ->プロバイダとしてCO2減、電力量の見える化、等
     f)電力ルーティングプロトコル:IP-NW同様の自律分散型,QoSで電力量制御
       ->NiCT 次世代NW AKARIプロジェクトのプロトコル応用予定
   g)まとめ
       家庭からのエネルギーの情報化。国際標準化の動きもありスピード必要。

 [所感]
 (3)  汎用的ホームゲートウェイ等、既に民間企業との共同研究の紹介。
    AKARIプロジェクトのプロトコルやユビキタス技術の応用等、
    既存技術を利用しつつ、民間を巻き込んでいることで具体的実現性を感じる。


 4) NiCT 情報通信・エネルギー統合技術の研究開発 [京大)引原教授]
     a)研究課題
       エネルギーの最適割り当てを実現するための通信IF及び同IF対応HWの開発
       (1)高周波スイッチング電源も用いた電力伝送IFルータの研究開発
       (2)分散電源出力の平滑化と連携制御システムの開発
     b)電力伝送IFルータの研究開発
    -配電に必要な情報通信と電力伝送の一体化
    -SiCパワーデバイスで実現
       -実験成功。高効率化を目指す
   c)プロジェクトの展開
    -通信とパワーの実質的融合
        ->ハードを生かした通信と電力伝送技術の結合
     (ソフトだけなら他にもあるがハード含めては初、のはず)
    -SiCパワーデバイスの積極的適用
     -国際標準化の為、海外研究プロジェクトとの連携
    ->国際WSの開催(2010春予定)

     Q&A by江藤
     Q3.電力エネルギーのパケット可とはエネルギー自体をパケット化する
    ということか?
     A3.その通り。可能と考えている。アナログ情報をデジタル情報化と同じ。
        例えば、時分割で周期制御すればパケットとして送信可能である。
        500V等の高電圧パケットは100V以下に分割して送信し、受信側で
    マージして500Vにすればよい(ロス発生の可能性はあるが、まずは
    送信できること)。
     Q4.電力パケットのID化、または、ヘッダ付与とはどういうことか?
     A4.一般のIP制御と同じ。実験で成功を確認済み。

 [所感]
 (4)  電力エネルギーのパケット送信という考えにインパクトを感じる。
    通信プロトコル周りの開発経験から従来技術の応用による可能性は理解
  できるが、エネルギーという瞬間的かつパワーを有する存在をリアルタ
  イム(?)で送信するという点が未だ理解できない。エネルギーなので
    統計的に予測して事前要求し、蓄電しておくという用法も併用と推測する。


 5) 消費エネルギー抑制ホームネットワーク技術の研究開発 [北陸先端大)丹教授]
     a)研究背景
       従来のホームNW普及の阻害要因:サービス提供、網管理、顧客管理の不在
    ->サービスプラットフォームを提供する中間サービス事業者を創出
   b)研究課題
       (1)ホームネットワーク高度電力制御技術
       (2)ホームネットワーク共通制御プロトコル技術
       (3)ホームネットワーク実証実験環境の開発
     ->北陸先端大の実験住宅環境で実データを収集し、
            北陸NICTのシミュレータで100万世帯以上を模試。
   c)今後のプロジェクトの進め方
    -ユーザ参加型の実証実験やテストヘッドを活用した検証の実施
       -技術仕様の標準化、オープン化
    -次世代IPネットワーク推進フォーラムの諸活動との連携
  
 [所感]
 (5)  3)項の岡部教授の"汎用的ホームゲートウェイ"と類似。但し、こちらは
    総務省直轄プロジェクトであり別系統か? 実証実験に重きが置かれており
   閉じられた世界での研究ではない、実社会への展開の考慮が感じられる。


 6) 直流化への期待と省エネルギー技術開発 [NEDO 酒井主任研究員]
     a) 7),8)項の着手したばかりの"住宅"の研究背景
   b) DCハウス(次世代・高効率な住宅)の研究課題
       (1)住宅内交流・直流システムの実証
	  ->低電圧(48V以下)直流配線
	 ->交流・低電圧直流システムによる省エネルギー可能性検討
       (2)住宅内直流システム・情報ネットワーク融合可能性
          ->(1),(2)公募でパナソニック電工、シャープ採択  
       (3)有識者委員会等による次世代直流システムの検討
	 ->公募予定

 [所感]
 (6)  NEDO推進の他関連プロジェクト、研究の説明もあり早口で理解しずらかった。
    上述のDCハウス公募に従い、採択された二社を助成支援する、という主旨。
    プレゼン最後の、パワー(積算,積分)x情報(変化,微分)の両方の使いこなしが
  次世代の社会インフラへのパラダイムシフト、というまとめが印象的だった。


 7) 「次世代高効率エネルギー利用型住宅システム技術開発・実証事業」
   -パナソニック電工の直流配線システムへの取り組み- [藤岡所長]
     a)研究開発目的、及び、研究開発項目
       (A)交流・低電圧(48V以下)直流(配線)システムの実証
	 ->住宅内交流・直流併用システムの実証の研究開発
      ->まずは、10%以上削減を目標
       (B)さらなる省エネを実現するための技術の調査研究
	 ->住宅内直流配線・情報ネットワーク融合可能性の研究開発

 [所感]
 (7)  幸之助氏以来の"配線"に着目したアプローチ。他の産業競争力への貢献として、
    火災報知機や人感センサ等のセキュリティ機器との連動を考えている点に
  少々興味を持った。


 8)  「次世代高効率エネルギー利用型住宅システム技術開発・実証事業」
    「住宅内直流配線・情報ネットワーク融合可能性」[松岡副所長]
     a)研究開発内容
       -直流配線、交流配線等ネットワークの融合の検討及び直流接続機器の
        統合可能性を検討
        ->直流回線に情報が載せられるか?
        ->太陽光発電システムのDCエコハウスでの実現

 [所感]
 (8)  太陽光発電で家庭からのCO2排出ゼロを目指す、という点がシャープらしい。
  省エネだけではなく、"創エネ"を謳うところに独自性を感じる。
    (配布資料の落丁が残念)


 9) 今後のWGの活動について [京大)松山教授]
     次回WGの開催予定 2009/10 or 11

 [全体所感]
 (8)  米国発のSmart Gridとは異なる視点の「エネルギーの情報化」。日本のインフラ
  文化に根差した省エネの実現、その具体的プランに興味を覚えた。
    但し、電力出向者(ISIT)からは、「電力業界では、情報化やエネルギー制御は
  20年以上前から着手済み」,「情報制御用に光ケーブル配置済」との情報もある。
  電力関係からの参加者もいたようだが特にコメントはなく、各講演者資料の中にも、
  電力系との連携が見当たらない(「電力は専門外で」という講演者が複数居た)。
  「エネルギーの情報化」はホーム側での取り組みであるが、電力業界側との
  整合を取る必要もあるのではないかと考える。
 (9)  SmartGridに関する情報収集が目的であったが、SmartGrid自体との違うという
  話から始まった。内容的には共感・理解した。
  また、既に多くの民間企業と連携し、実験段階まで進んでいるスピード感を感じる。
 (10) 松山教授は、2009/10月の[モノづくりフェア2009]で来福され講演予定とのこと
  などで、また聴講したい。
 (11) 参加出張の機会を与えていただいたことに、感謝致します。


以上
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