AAMAS2006参加報告


場所:函館
日時:5月8日〜12日
AAMAS'06 HP: http://www.fun.ac.jp/aamas2006/main.html


AAMAS: Conference on Autonomous Agent and Multiagent Systems
	今回で5回目を数えるエージェントに関する世界最大の会議.
	別々で開催されていた3つのエージェント関連の国際会議,
	・International Conference on Autonomous Agents
	・International Conference on Multi-Agent Systems
	・International Workshop on Agent Theories, Architectures
	  and Languages
	が統合される形で2002年に最初の会議が行われている.
	本会議には553件の論文が投稿され,127件がレギュラーペーパーとして,
	123件がショートペーパーとして採択されている.
	採録率は,レギュラーペーパーで23%,ショートペーパー込で45%程である.
	本会議ではレギュラーペーパーの半数程度だけがoral sessionで発表された.
	残りのレギュラーペーパーとショートペーパーはポスター発表だけであった.
	セキュリティに関連するセッション?としては
	・Scalability, security, and performance analysis 
	・Trust and reputation 
	が設けられていた.前者は4件,後者は5件のレギュラー論文が採択されている.
	ただし,前者については発表がなく,ポスター展示のみである.


併設WS:今年度の会議では32の併設WSが開催されている.
	セキュリティ関連のWSとしては,
	・Trust in Agent Societies (TRUST)
	・Privacy and Security in Agent-Based Collaborative 
	  Environments (PSACE) 
	・Safety and Security in Multiagent Systems (SASEMAS)
	が見受けられる.


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聴講報告:Trust in Agent Societies
	本WSはエージェント間のTrustに関するものである.
	グループ内に限った狭い範囲で信頼関係を構築するための研究や
	信頼関係を構築するための戦略に動的対応するための方法に関する
	研究が多く見受けられた印象がある.


○Impact of Trust on the Performance of
 a Recommendation Sytem in a Social Network
Stefano Battistion, Frand E. Walter, Frank Schweitzer, ETH Zurich
推薦システムにおいて信頼関係の変更がパフォーマンスに与える影響を調査.
情報を推薦したエージェントと,その推薦を仲介したエージェントの
信頼度がアップする方式を対象として,そのエージェントが持つリンクの数と
それぞれのエージェントが持つ情報の違いがパフォーマンスに与える影響を調査.
Q: パフォーマンスは誰のパフォーマンスを測定しているのか?
A: すべてのエージェントの平均をグラフで表している.
Q: 推薦情報の仲介者の信頼度がなぜ上がるのか?
A: 人間の関係でも良い情報を仲介してくれた人はGood Friendだ.


○Trust and Reputation Model based on WSMO
Alberto Caballero, Juan A. Botia, Antonio F. Gomez-Skameta, 
Jie Zhang, Robin Cohen
適応的な交渉をエージェントが行えるようにするための方法の提案.
何を目的として交渉するかによって信頼や評判の見方は変わるため,
その目的によって交渉方法を変更することが必要.
信頼と評判を与えるための式を定義している.
WSMO:WS modeling ontology, W3C standard proposal
C: 信頼や評判を定義するための完全な方法はないのでタスクによって
   それを計算する方法を適応的に変えることは必要なことだ.


○A Personalized Approach to Address Unfair Ratings
 in Multiagent Reputation Systems
Jie Zhang, Robin Cohen, Univ. of Waterloo, Canada
Unfairなレーティングをつけて不正にその人の評判をあげたり,
下げたりすることが問題になっている.
例えば,eBay, Yahoo! Auctionでその問題は見受けられる.
このことに対処するための既存研究の問題点をそれぞれ挙げて,
public vs. private, global vs. localという視点で分類している.
Public: considers rating by other consumer
Private: considers only own rating
Global: considers rating for all providers
Local: considers only rating for the current provider
これらのすべてを考慮に入れた方式を提案.
Q: contextによってレーティングが変わってくるが考えているか?
A: 今後の課題


○Trust Strategies for ART Testbed
O. Kafali, P. Yolum
様々な信頼度構築のための戦略を評価するための
ベンチマークエージェント(シミュレーション環境)をARTで開発.
評判を尋ねる数や他のエージェントについての情報量等を設定し,
単純な信頼度構築戦略に対するパフォーマンス評価を行っている.
ART: Agent Reputation and Trust


○Modeling Multi-dimensional Trust
Nishit Gujral, D. Angelis, K. Fullam. K. Barber
複数の情報(情報の質やコスト等)を組み合わせて
信頼を構築するためのモデルを提案している.
Q: 複数の情報をどうやって統合して評価するのか?
A: 予め評価式を定義している


○Expertise and Trust-based information of effective coalitions:
 an evaluation of the ART testbet
S. Sen, I. Goswami, S. Airiau
双方がそれぞれの利益を最大化するための戦略が,
パフォーマンスに与える影響を調査.
エージェントの数,グループの大きさ,エージェントが協力するかどうか,
をパラメータとしてそのときのパフォーマンスを調査.
Q: エージェントがグループに加わる方法はどうなっているのか?
A: エージェントがグループに加わる方法を問題とせず,
   エージェントが加わったときに,パフォーマンスに
   どのような影響を与えるかを問題としている


○Comparative analysis of the complexity-based model of trust
Piotr Cofta
Complexity-based modelの比較分析を行っている.
Complexity-based model: confidenceがなぜ,また,
	どのように作成されるという行為を説明するためのモデル.
	trustはconfidence作成に使う一つのパラメータ.
ここでは3つのモデル,McKnight, Egger, Tan,それぞれのモデルを取り上げ,
scope, approach, componentの面で比較している.
Scope: デメインやエンティティ等,どのような文脈をサポート可能か
Q: control trustに関する知識としてどのようなものがあるのか?
A: 例えば,誰かがどのように振舞うかを前の振る舞いから予期すること


○The credibility of posted information
 in a recommendation system based on a map
K. Yamamoto, .., H. Kuwata
届いた情報が信頼できるものであるかどうか判断するために,
どのように情報が運ばれてきたのかを実世界上の地図でユーザに示すことで,
その情報の信頼性の判断をユーザに委ねるシステムを実装したことの報告.
Q: 情報としてどのようなものを使ったのか?
A: お店の情報
Q: 人のグループ(例えば,老人と子供)によって判断が異なって,
   グループ分けする必要があると思うが,そんなことをしてますか?
A: してない


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聴講報告:AAMAS本会議
参加人数:各セッション100人程度
登録者数:600名程度
	3つのパラレルセッション+ポスターで開催された.
	レギュラーペーパーの半数程度がoral sessionで発表された.


○A complete and decidable security-specialised logic
 and its application to the TESLA protocol 
Alessio Lomuscio, Bo?ena Wo?na 
セキュリティプロトコルを形式的に評価するためのロジックを提案し,
その表現の豊かさについての評価を行っている.
発表のほとんどが形式的な記述についてのもの.


○Model Checking for Multivalued Logic of Knowledge and Time
Wojciech Penczek, Beata Konikowska 
マルチエージェントシステムのモデルチェックのための表現記法
μK-calculus,を提案.
μK-calculusはtwo-valued De Morgan algebrasを
知識や時間経過を明記可能なように拡張し実現されている.


○Negotiating using Rewards 
Sarvapali Ramchurn, Carles Sierra, Lluis Godo, Nick Jennings 
交渉を繰り返すようなケースにおいて,
お互いの得る報酬を最大化するための方法を提案.
報酬値の同意を得るためにhill-climbing-likeな交渉を行う方法
を提案している.
Q: どれくらいの計算量が必要と見積もられるか?
A: お互いの報酬の計算の方法によって違うので一概に言えない


○Support-based Distributed Search 
Peter Harvey, Chee Fon Chang, Aditya Ghose 
大きなシステムを考えると,木構造の(通信相手を探すための)検索方法や
規律正しい人の追加・離脱を仮定することができなくなる.
そこで,このようなことを前提とせずに,
エージェント間で通信・交渉するための方法を提案している.
それぞれの主張を分散制約モデルとして記述することで,
通信・交渉させる方法を提案している.


○An Argumentation-based Approach for Practical Reasoning 
Iyad Rahwan, Leila Amgoud
エージェント間の交渉方法を形式的に定義するための方法を提案.
具体的にはdesireを生成するための形式的モデルと,
Planを生成するための方法を定義.


○A Context-Aware Approach for Service Selection Using Ontologies 
Murat ?ensoy, Pinar Yolum 
交渉を行うときに,交渉にふさわしい相手がいるグループに加わることが必要.
そこで,電子商取引のケースにおいて,最もふさわしいサービスの提供者を
選択するための方式を提案.
具体的には,オントロジーを使って表現されたサービス提供者の取引経験を
使って最適なサービス提供者を探すための方式を提案.
基本オントロジー(base level ontology)と
ドメインスペシフィックなオントロジーを定義.


○Automated Semantic Web Service Discovery with OWLS-MX 
Matthias Klusch, Benedikt Fries, Mahboob Alam Khalid, Katia Sycara 
論理推論技術を情報検索技術に補足的に利用するための方式を提案.
具体的にはコンテキストベースの情報検索技術と論理推論技術の両者を
OWL-S service profile I/O matchingのための開発している.


○Ontology-Guided Learning to Improve Communication between Groups of Agents 
Mohsen Afsharchi, Behrouz Far, Joerg Denzinger
コミュニケーションを改善するために,エージェントの知識を
オントロジーとして表すための方式を提案.
また,positive, negativeの例を示すことで,
新しいオントロジーを学習することができる.


○ANEMONE: An effective minimal ontology negotiation environment 
Jurriaan van Diggelen, Robbert Jan Beun, Frank Dignum, 
Rogier van Eijk, John-Jules Meyer 
異なるオントロジーを持つもの同士は知識の共有ができないため,
コミュニケーションできない.
このことを解決するために,オントロジー交換のための技術を統合するための
layered communication protocolを提案している.
階層化されたオントロジーを使って徐々にオントロジーを交換していくことで
最低限の知識だけを共有してコミュニケーションを成立させている.


○Agents for e-Business Applications 
Alessandro Negri, Agostino Poggi, Michele Tomaiuolo, Paola Turci
動的にサービスを合成して利用することが必要で,そのためには
・ウェブサービスをどのように見つけるか
・どのようにそれらのウェブサービスを合成するか
が重要な課題.
セマンティックウェブ,ルールベースエンジン,ワークフロー技術
を統合することでこれを実現するための方法を提案している.
JADEを拡張して電子商取引のためのシステムを実現.
JADE: 有名なマルチエージェントシステム作成のためのフレームワーク
	どっかの大学発ベンチャー会社の開発物(多分).


○Evaluating a Computational Model of Social Causality and Responsibility 
Wenji Mao, Jon Gratch 
社会の出来事を取り入れてモデル化することは,マルチエージェントシステムや
そのユーザインタフェースの能力をより便利なものとするという考えの下,
ユーザの判断に対する社会的な責任やcausalityを経験的に評価している.
このモデルを通して,人の責任を一貫的により良くするためのモデルを実現.


○Embodied mobile agents 
Bill Tomlinson, Man Lok Yau, Eric Baumer
PCや携帯電話,PDAといった様々なものがネット接続のために
利用されているが,それらを通して一貫的に実験できる
交渉例はあまりない.
そこで,モバイルエージェント(EMA)を通して,そのことが可能な
システムを提案しており,EMAを使ったinteractive musemeを紹介し,
EMAが適用可能なアプリケーションについて考察している.


○Learning Trust Strategies in Reputation Exchange Networks 
Karen Fullam, K. Suzanne Barber 
それぞれのエージェントは異なる評価基準を持つ.
そこで,お互いの評価を交換するときに直面するその評価基準の
独立性を考え,お互いの決定に対する相互関係を議論している.
ART上で,reputation-based learningとexperience-based learning
 over different opponentsのパフォーマンス評価を行っている.
Q: すべてのエージェントを相互に接続することは可能か?
A: ドメインに区切って考えることが必要だ


○Certified Reputation: How an Agent Can Trust a Stranger 
Trung Dong Huynh, Nick Jennings, Nigel R. Shadbolt 
相手を評価可能なエージェントを,エージェントが世界のすべてを
認識できないような分散環境において見つけるための方式の提案.
通信相手に関する評価を他のエージェントから集めてくることで
その通信相手の評価を行う.
また,評価を寄こしたエージェントの信頼度も考慮.
Q: 直接的な信頼度評価モデルと何が違うのか?
A: エージェントはすべての世界を認識可能なわけではなく,
   一部の閉じた世界だけを認識可能である.
   それらの閉じた世界で相手の情報を集める必要がある.
A: 評価は時間経過によって変わってくるので,
   最新の情報に高い評価を与える必要がある.


○Trust and Honour in Information-based Agency 
Carles Sierra, John Debenham 
情報理論に基づいてHonour, Reliabilityのセマンティックを提案.
Honourではappeal,reward,threatのような論争を実現するための
約束をモデル化している.
Reliabilityでは相手からの情報の信頼度をモデル化している.
Q: 評価結果はどうか?
A: ここでは発表していないがARTで評価した
Q: 計算複雑性はどうなのか?
A: アプリケーションによって異なってくるので位置外に言うことは難しい